耳鼻科の癌(頭頸部癌)
耳鼻科領域の癌(頭頸部癌)は、頻度は全体の5%ぐらいで頻度は多くありません。
しかし頭から頸部は様々な臓器が密集して存在しています。聞こえや平衡感覚、匂いや味などの感覚、また息をする、声を出す、飲食に関わるので、生活の質に大きく影響する部位です。
頭頸部癌といっても、沢山の種類があり、耳に出来る聴器癌をはじめ、鼻腔癌、上顎癌、舌癌、口腔底癌、咽頭癌、喉頭癌、耳下腺癌など多岐にわたります。
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頭頸部癌の危険因子
舌癌
下咽頭癌
喉頭癌
頭頸部癌は細胞レベルでは扁平上皮癌と呼ばれるタイプのものが多く、主にタバコやアルコールが強く関与しています。(耳下腺癌などの唾液腺癌を除きます)
一般的には喫煙指数という数値が目安となり、
喫煙指数=1日当たりの平均喫煙量(本数)×喫煙年数
この数値が400を超えると発癌の危険性が増えてきます。
またアルコールの分解成分であるアセトアルデヒドは強い発癌物質であることがわかっています。アルコールと喫煙との相加・相乗作用で発癌率が増えると考えられています。 -
頭頸部癌の症状
鼻腔癌:鼻閉、鼻出血など
副鼻腔癌:頬部の痛み、腫脹、開口障害、複視など
口腔癌:痛みや、食べ物がしみるなど
咽頭癌:喉の違和感、食べ物が引っかかる感じ、痛みなど、耳のつまりや痛み
喉頭癌:声のかすれ。
それ以外に頸部のリンパ節が腫れて見つかることもあります。
いずれの癌も、初期の頃は症状がはっきりしないことがあるため、タバコ、アルコールを摂取していて、違和感が続く場合は注意が必要です。 -
頭頸部癌の診断、治療
各部位によって治療が異なりますが、頭頸部癌の治療は、手術、放射線治療、抗がん剤を使った化学療法です。これらを単独、あるいは組み合わせて治療を進めていきます。
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注意していただきたいこと
頭頸部領域は、非常に狭いエリアの中に感覚器や嚥下、発声、呼吸などの生活に関わる臓器が密集しています。 癌が進行してしまうと、治療が難しくなるだけでなく、治療を行っても生活の質を大きく損なう可能性があり、早期発見が非常に大切です。
当院では分光画像内視鏡システム(FICE:Flexible spectral Imaging Color Enhancement)という機能を持つ最新の内視鏡システムを導入しています。 通常の内視鏡検査とFICE画像を見比べながら検査することが出来るため小さな病変部の発見をサポートできます。頸部超音波検査などと組み合わせて検査おこなっています。